脳神経外科 脳卒中ケアユニット(SCU)の開設について
登録日:2020年3月16日
脳卒中ケアユニット(SCU)の開設について
当院では、平成22年7月に脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit)を開設しました。
脳卒中ケアユニットとは、急性期の脳血管障害(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)の患者さんを受け入れる専用の病床で、脳卒中の専門知識を持つ経験豊富な医師、看護師、リハビリテーション技師らの専門チームにより、脳卒中を発症早期から24時間体制で集中的に治療する病床のことです。
この病床で治療することにより下記のようなことが明らかになっており、脳卒中治療ガイドライン2009において強く推奨されている治療体制です。
- 死亡率の低下
- 入院期間の短縮
- 自宅への退院率の増加
- 長期的な日常生活能力や生活の質の向上を図ることができる
当院では、脳卒中ケアユニットを6階病棟に3床設置し、多職種からなる専門チームにより、24時間365日脳卒中急性期患者さんの治療に取り組んでいます。
また、当院(急性期病院)は、地域の回復期(身体機能の回復のための治療が必要な状態)医療機関及び維持期(身体機能の維持や病気の再発予防など基本的な治療の継続が必要な状態)医療機関と互いに連絡を取り合い、患者さんの病状や治療に関する情報を共有することで、医療機関(主治医)が代わっても患者さんが安心して治療を受けることができるという「脳卒中地域連携パス」を作成し、地域全体で脳卒中患者さんへ良質な医療を提供しています。
さらに、脳梗塞発症後3時間以内の患者さんに血栓溶解療法(t-PA静脈内投与)を行っており、この度の脳卒中ケアユニットの開設により、今まで以上に効率的な治療が行えます。
▼ 医師、看護師、リハビリテーション技師、放射線技師、薬剤師など多職種からなる専門チームによる治療
院長 挨拶
平成22年8月
丸木 親
越谷市立病院 院長
埼玉県医師会医療連携部 脳卒中部会長
日本脳卒中協会 埼玉県副支部長
この度、越谷市立病院に埼玉県東部地区において初めてのSCU(脳卒中ケアユニット)を3床開設することができました。体制を整えるにあたり、ご協力いただきました越谷市、当院スタッフに感謝申し上げます。
埼玉県東部地区は埼玉県内において早い時期から脳卒中の医療連携が進んだ地域として注目を集め、昨年度は埼玉県医師会から脳卒中医療連携モデル地区に選ばれました。脳卒中は急性期に体制の整った病院になるべく早く患者さんを収容し、治療を開始しなければなりません。現在では発症から2時間以内に体制の整った病院に収容されれば、脳の詰まった血管を溶かすアルテプラーゼ(t-PA)という薬を静脈注射する事で、後遺症なく治る方も増えています。当院のt-PA使用実績は埼玉県内でも1、2を争う症例を誇っています。日本脳卒中協会では現在このような救急受け入れ体制を全国に広めようと脳卒中対策基本法の成立に向け、超党派でつくる国会議員団に働きかけています。
また、脳卒中は後遺症が残る病気で、退院後もリハビリテーション、介護、在宅診療などの欠かせない分野です。このような脳卒中診療の切れ目のないスムーズな流れをこの地区では整えつつあります。脳卒中急性期の治療のスタートにあたりSCUが果たす役割は大きく、これを徐々に拡大して当院を地域の脳卒中センターとしてさらに飛躍させていきたいと考えています。