婦人科
更新日:2024年7月1日
- 子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍導入施設(保険診療認定施設)
- 子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術導入施設(保険医療認定施設)
- 子宮体がんに対する腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術導入施設(保険医療認定施設)
- 体に優しい低侵襲手術(腹腔鏡手術・子宮鏡手術・経腟内視鏡手術)のハイボリュームセンター
当科の特色
診療体制
外来患者数は1日平均114人(産科23人、婦人科91人)
産婦人科ベッド数66床。年間手術件数1,101件、年間分娩数429件(2022年)
救急車による受入件数は約256件。緊急手術が必要な症例は24時間受入の体制で臨んでいます。
各種専門外来・・・女性健康外来、コルポスコピー外来、子宮鏡外来
婦人科
低侵襲で体への負担の少ない内視鏡下手術(2022年実績:489件)を施行しており、良性腫瘍全般、子宮体がん・子宮頸がんなどの悪性腫瘍についても積極的に行っております。他にも、内視鏡下手術も選択可能な骨盤臓器脱治療、漢方やホルモン剤などを用いた女性健康外来など、女性のライフスタイルをお手伝いする診療を行っています。
施設認定
順天堂大学基幹関連病院
日本産科婦人科学会臨床研修指定施設
日本産婦人科学会専攻医指導施設
日本婦人科腫瘍学会専門医制度指定修練施設
婦人科悪性腫瘍研究機構登録参加施設
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍登録機関
日本がん治療認定医機構認定研修施設
日本産科婦人科内視鏡学会認定研修施設
日本周産期・新生児学会専門医(母体・胎児)指定施設
日本超音波医学会超音波専門医研修施設
所属専門医・認定医
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医
日本婦人科腫瘍学会認定婦人科腫瘍専門医・指導医
日本がん治療認定医機構認定がん治療認定医
日本産科婦人科内視鏡学会認定技術認定医
日本内視鏡外科学会認定技術認定医(産婦人科)
日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医
日本超音波医学会認定超音波専門医
日本女性医学会認定女性ヘルスケア暫定指導医認定証
日本東洋医学会認定漢方専門医
日本周産期・新生児医学会認定母体・胎児専門医
婦人科診療内容
(1)良性腫瘍(子宮筋腫や子宮内膜症、良性卵巣腫瘍)
当科では年間489例(2022年)の内視鏡手術(腹腔鏡・子宮鏡下手術)を行っており、低侵襲手術に力を注いでいます。
4名の日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医を中心に診療します。
良性腫瘍である卵巣嚢腫、子宮筋腫などの大部分は、体にやさしい腹腔鏡下手術で対応しています。
患者さんの希望に応じて可能な限り機能温存した治療を行うように心がけています。
受診は、以下を参考に受診お願いします。
(2)婦人科悪性腫瘍(子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん)の診断・治療
2名の日本婦人科腫瘍学会専門医、6名の日本がん治療認定医機構がん治療認定医を中心に診療します。
手術療法、化学療法や放射線療法などの集学的治療が可能な県下でも有数の施設です。
子宮頸癌術後の排尿障害、術後下肢リンパ浮腫の発症を防止する機能温存手術を心がけています。
進行癌の患者さんに対しては、Quality of Lifeに配慮したうえで集学的治療を行っています。
(3)埼玉県下有数の低侵襲な腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術導入施設(子宮体がん)
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)が保険適応となり、当院は認定施設基準を取得している県内でも数か所の保険診療での腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術が可能な施設です。
現在の適応は病巣が子宮に限局している早期子宮体癌(Ⅰ期)です。
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(早期子宮体がんに対する)に関するお知らせ
良性疾患に対しては本邦でも早期から腹腔鏡手術が行われており、より複雑な手技を要求される子宮悪性腫瘍手術に対してはその導入が遅れていましたが、本邦においても2014年4月から腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)が保険適応となりました。当院は、認定施設基準を取得して、県内では数少ない保険診療可能な施設の一つです。子宮体がん治療ガイドライン(2023年版)や産婦人科内視鏡ガイドライン(2019年版)では、病巣が子宮に限局している早期子宮体癌(Ⅰ-Ⅱ期)に対しては、適応となりうること、日本婦人科内視鏡認定技術医と日本婦人科腫瘍専門医を加えたチームで治療を行うことがすすめられており、当院には4名の日本婦人科内視鏡認定技術医と2名の日本婦人科腫瘍専門医が在籍しいる県内では稀有な施設ですので、外来担当医にお尋ねください。
(4)腹腔鏡下広汎子宮全摘術に対する保険診療認定施設(子宮頸がん)
腹腔鏡下子宮頸がん手術は、出血量の減少、入院期間の短縮などのメリットは体がんと同様であると考えられています。骨盤内の細かな部位を認識しながら手術を行う必要がある子宮頸がんの手術は、腹腔鏡手術が適している疾患です。腹腔鏡下広汎子宮全摘術は、2014年12月から先進医療として認可されました。当院では、2017年7月から先進医療A(厚生労働省)として施行しておりましたが、2018年4月より保険診療となりました。当院は保険診療認定施設ですので、外来担当医にお尋ねください。
腹腔鏡下広汎子宮全摘出術(早期子宮頸がんに対する)に関するお知らせ
適応;子宮頸がん(ステージがI A2期、I B1期またはII A1期の患者に係るものに限る。)
上記の子宮頸がんに対して、腹腔鏡を用いて広汎子宮全摘術を行うものです。広汎子宮全摘術とは、子宮と腟の一部に加え、関連するリンパ節も取り除く手術です。子宮頸がんの治療は、開腹による広汎子宮全摘術もしくは放射線治療を行うのが一般的です。しかし、腹腔鏡下手術を行うことで、患者さんの体にかかる負担を軽減することができます。また、開腹手術に比べて手術中の出血量が少ないことから、輸血の機会を減らすこともできます。早期回復や早期退院が期待でき、入院に伴う経済的な負担の軽減にもつながります。子宮頸がん治療ガイドライン(2022年版)では、子宮頸がん(Ⅰb期、Ⅱ期)に対しては、子宮体がん同様、日本婦人科内視鏡認定技術医と日本婦人科腫瘍専門医を加えたチームで治療を行うことがすすめられています。当院には4名の日本婦人科内視鏡認定技術医と2名の日本婦人科腫瘍専門医が在籍しいる全国的にも稀有な施設ですので、外来担当医にお尋ねください。
(5)子宮体がんに対する腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術導入施設(保険医療認定施設)
2017年より子宮体癌{IA期、Grade3もしくは特殊型(漿液性癌、明細胞癌、癌肉腫等)、IB期、II期}に対する腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術を含めた腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術が先進医療Aとして認可されました。その後、2020年4月より上記術式が保険診療として実施できるようになりました。当院では、2018年6月より厚生労働省より施設認定を受け、保険収載以前より治療を実施している施設の一つです。
腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術(子宮体がんに対する)に関するお知らせ
適応;子宮体がん(ステージがIA期、Grade3若しくは特殊型(漿液性腺がん、明細胞腺癌、がん肉腫等)、ⅠB期、Ⅱ期の患者に係るものに限る。)
上記の子宮体がんに対して、2017年7月より腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術を含めた腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術が先進医療Aとして、厚生労働省において認可されました。先進医療とは厚生労働大臣が承認した先進性の高い医療技術のことで、高度な技術を持つ医療スタッフと施設設備を持つ保険医療機関で行うことが許されています。腹腔鏡手術は出血量の減少、早期離床の促進、在院日数の減少などのメリットがあると考えられています。細かな部位を認識しながら手術を行う必要がある傍大動脈リンパ節郭清術は、多くの患者さんにとって早期回復、早期退院が期待でき、出血量が少ないことが報告されています。先進医療とは厚生労働大臣が承認した先進性の高い医療技術のことで、医師基準、施設基準を満たした、高度な技術を持つ医療スタッフと施設設備を持つ保険医療機関で行うことが許されております。婦人科腫瘍専門医が行うことが必須基準となっており、当院には2名の日本婦人科腫瘍専門医が在籍しておりますので、外来担当医にお尋ねください。
受診予約は、各医療機関から医療連携室へ
受診は、毎週火曜日・木曜日に専門医が診察しています。各医療機関からの受診予約を受け付けています。(患者様からの予約はできません。)予約方法は病診連携のWeb予約またはFAX予約をご利用ください。
『問合せ:医療連携室 048-965-2221(代)』
腹腔鏡子宮悪性腫瘍手術担当医 前原 真里 (外来日 木曜日午前・午後) 午後は予約の患者様 |
日本産科婦人科専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本産科婦人科内視鏡学会内視鏡技術認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医 |
中村 謙一 |
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本医師会認定産業医 緩和ケア研修会修了 婦人科腫瘍専門医 内視鏡技術認定医 |
(5)骨盤臓器脱・性器脱の診断・治療
更年期以降の女性にしばしば認められる骨盤臓器脱・性器脱(子宮脱・子宮下垂・直腸脱・膀胱脱・尿道脱)は高齢化とともに増加傾向にあり、当科でも様々な治療法を患者さんの状況にあわせて選択して対応いたします。低侵襲な腹腔鏡下手術での治療(LSC)も積極的に行っております。
毎週金曜日に専門医が診察しております。
保存的治療・・・ペッサリー
手術療法・・・メッシュ法・TVM手術
内視鏡手術・・・腹腔鏡下仙棘靭帯固定術(LSC)、経腟内視鏡手術(v-NOTES)
従来法・・・骨盤臓器脱修復術、TOT手術(尿失禁手術)
骨盤臓器脱担当医 青木 志保 予約の患者様のみ |
日本女性骨盤産医学会専門医 |
vNOTESについて
vNOTES(Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)とは、お腹に傷をつけずに膣からアプローチする腹腔鏡手術です。
子宮頚部の近くの膣の壁を切ってお腹の中に腹腔鏡や、器具を挿入して行う手術となります。お腹の表面に傷をつくらないので、理想的な低侵襲手術と考えられます。これにより、患者様の痛みなどの負担を大きく軽減します。
ただし、大きな腫瘍や癒着のある症例など困難な症例には適応できず、すべての症例においてvNOTESが適応されるわけではありません。
詳しくは担当医へお気軽にお尋ねください。
(6)更年期障害について 女性健康外来開設のお知らせ
近年、女性の活躍の場が増えてきていますが、月経困難症、月経前緊張症(PMS)、更年期障害、骨盤臓器脱、尿失禁、泌尿生殖器萎縮症状(外陰部掻痒感、帯下増加)などといった症状で、十分やりたいことができない女性がいるのも事実です。女性健康外来では、ホルモン剤や漢方などを用いて、女性が様々なことに積極的に取り組めるようお手伝いを致します。
a) 「更年期と閉経後の変化を知っていますか?」
b) 「更年期、閉経後の変化に対して何ができるか?」
受診までの流れ
平日の午前8時30分から11時までに受診→診察、採血等を行う→女性健康外来の予約
女性健康外来担当医 糸賀 知子 (外来日 水曜日午後) |
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医・指導医 日本東洋医学会認定漢方専門医 |
セカンドオピニオン外来
患者さんが納得して安心して治療が受けられるよう十分なインフォームドコンセントを心がけております。
問い合わせ:医療連携室 048-965-2221(代)・・・予約が必要です。
婦人科 良性腫瘍(腹腔鏡手術・内視鏡手術)
詳しくはこちらをご覧ください。
教育・研修活動
順天堂大学の基幹関連病院、日本産科婦人科学会臨床研修指定施設、日本産婦人科専攻医指導施設、日本産科婦人科内視鏡学会認定研修施設、地域周産期母子医療センター、日本超音波学会専門医研修施設、日本婦人科腫瘍学会専門医制度指定修練施設、婦人科悪性腫瘍研究機構認定施設、日本がん治療認定医機構認定研修施設、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医認定研修施設として、若手医師の育成にも力を注いでいます。また、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍登録機関、婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構登録参加施設として、がん治療成績の向上を目指しています。
2022年産婦人科手術件数一覧
婦人科手術件数 1,101件
内視鏡下手術489件、悪性腫瘍手術139件、婦人科開腹手術148件,産科手術186件、腟式手術・骨盤性器脱手術等139件
悪性腫瘍手術 157件
浸潤がん106例(子宮頸癌12例、体癌42例、卵巣癌52例),円錐切除術51件
内視鏡手術 489件
腹腔鏡下手術478件・子宮鏡下手術11件
骨盤性器脱手術 66件
メッシュ手術3件、脱根治手術30件,腟閉鎖術7件、LSC9件、vNOTES7件など
2022年手術統計
2016年~2022年 手術件数推移
2017年~2022年 手術件数推移(領域別)
2017年~2022年 手術件数推移(アプローチ別)
当科の悪性腫瘍手術症例推移
2016年~2022年 腹腔鏡下子宮全摘出術(TLH)件数推移
診断群分類別患者数等(婦人科患者数上位3位まで)
婦人科
DPC名称 | 患者数 |
平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|
子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 | 240 | 6.34 | 5.98 | 0 | 45.88 |
卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(膣式を含む) 腹腔鏡によるもの等 |
127 | 6.12 | 6.4 | 0 | 44.38 |
子宮頚・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等:なし |
75 | 10.4 | 10.48 | 1.33 | 60.21 |
子宮の良性腫瘍や性器脱等、悪性腫瘍以外の症例が上位を占めますが、子宮頚・体部や卵巣の悪性腫瘍に関する症例にも多くの実績を持ちます。
悪性腫瘍に対しては、手術から抗がん剤による化学療法、放射線治療など集学的な治療が可能な数少ない病院として、埼玉県東南部の地域医療に貢献しています。
また、婦人科での入院の多くはクリニカルパスによる入院となっていること、腹腔鏡による低侵襲手術にも積極的に取り組んでいることから、平均在院日数も短くなっています。
主要手術別患者数等(婦人科患者数上位3位まで)
婦人科
名称 | 患者数 |
平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|
腹腔鏡下腟式子宮全摘術 | 296 | 1.42 | 4.19 | 0 | 49.25 |
子宮附属器腫瘍摘出術(両側) (腹腔鏡によるもの) |
125 | 1.10 | 3.78 | 0 | 38.72 |
子宮全摘術 | 86 | 3.34 | 7.53 | 0 | 58.74 |
子宮全摘術は、子宮筋腫などの良性疾患や、子宮癌などの悪性腫瘍など様々な疾患に対して施行されます。腹腔鏡手術は開腹を回避でき患者さんに対する侵襲は少ない優れた術式です。腹腔鏡での手術が行えない患者様には開腹手術となり、腹腔鏡手術と比較すると平均術後日数が長めとなっています。どちらの術式においても多くの実績を持っています。
子宮内膜掻爬術は、治療目的でも施行されますが、悪性腫瘍かどうかの診断目的で実施されることも多い手術です。
子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡)は卵巣のう腫や卵巣腫瘍に対して実施されます。時には子宮全摘術と一緒に行われる場合もあります。
この手術は腹腔鏡での手術となりますので、傷口は小さく術後の回復も早いことから、平均術後日数も短くなっています。
診療スタッフ紹介
医師名 | 役職 | 専門分野 | 備考 |
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西岡 暢子 | 科部長 |
周産期医療 遺伝カウンセリング 産科超音波 |
<資格>
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糸賀 知子 | 科部長 |
女性ヘルスケア 緩和ケア |
<資格>
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濱村 憲佑 | 副科部長 |
婦人科悪性腫瘍 緩和医療 |
<資格>
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前原 真里 | 副科部長 |
婦人科悪性腫瘍 がん化学療法 内視鏡手術 |
<資格>
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藤岡 彩 | 医長 |
婦人科悪性腫瘍 がん化学療法 内視鏡手術 |
<資格> 内視鏡認定医
<所属学会> |
笠原 太郎 | 医師 |
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柴川 未来 | 医師 |
<資格> |
|
林 明 | 医師 |
<資格> 緩和ケア研修会修了 |
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中村 謙一 | 医師 |
婦人科悪性腫瘍 がん化学療法 内視鏡手術 |
<資格>
<所属学会> |
阿部 準也 | 医師 |